震災直後につけた3/17の1ドル76円に迫ってきました。
今週中にも史上最高値を更新しそうです。
円高は輸出で稼ぐ自動車や電機など製造業の業績に大きな打撃となります。
円高に加え電力不足という二重苦で製造業の海外移転が加速すれば、
雇用の減少を通じて国内景気の悪化に拍車をかけかねません。
自動車や電機業界は海外の売上高比率が高く、円高は業績にマイナスになります。
現地通貨ベースで同じ額の輸出でも、円換算の手取りは目減りするからです。
例えばパナソニックの今期の想定為替レートは1ドル=83円で、
1円の円高が営業利益に及ぼすマイナスの影響は年38億円。
仮に76円台の円高水準が続けば、それだけで年間に200億円を超える利益が吹き飛ぶ計算。
円高を放置すれば生産の海外移転が加速し、国内の雇用に影響を及ぼしかねません。
シャープの副社長は『海外シフトを含めてコスト削減を進めるしかない』と、言っています。
さらに追い打ちをかけるのが電力不足。
節電要請が長引けば増産など思うような意思決定ができなくなり、
『日本で生産するのは難しくなる』(パナソニック常務)とも。
円高には原油など日本が輸入に依存する原燃料の価格を下げるという利点もありますが、
輸出の悪影響の方がはるかに大きいのが現状です。
これまでの輸出頼りの産業構造を変革しないと、日に日に厳しくなっていきそうです。