今から約2年前の2009年8月後半、ニューヨークの取引所の金価格は
1オンス(31.10グラム)が1,000ドル程度でした。
金は通常USドルで表されます。
その金価格は、すでに1,800ドルを超え、一時1,900ドルを超える局面もあったほどです。
今回の金の高騰は、金の価値が上がっているのではなく、USドルの価値の下落の結果とも言えます。
金は、はるか昔から東西を問わず、誰もが手に入れたいものでした。
誰でも欲しがるということは、その価値が極めて安定していることを意味します。
かつて金本位制の時期、発行されるお金=通貨の価値を裏打ちするために、
通貨は金との交換が保障されていました。
金といつでも交換できるため、その価値が安定していたのです。
今から40年前の1971年8月15日、米国のニクソン大統領は、ドル紙幣の金との交換を停止しました。
それが “ニクソンショック” です。
それ以降、世界の通貨の中心である基軸通貨=米ドルは金の裏付けを失って、
米国に対する信用力だけが頼りになりました。
つまり、ドルが金から離れて、1人で歩くようになったのです。
その金が、一段と騰勢を強めている。
その背景には、世界の人々がドルに対する信認を失い始めているため、
ドルを売って金に乗り換える動きが鮮明化していることがあります。
そうした状況が続くと、今後、基軸通貨であるドルを中心とした世界の通貨の仕組みが、
根本から崩壊する可能性も出てきます。